どうすればIT投資の重要性を経営陣にわかってもらえるのか、通る稟議書と通らない稟議書の違いはどこにあるのか、経営陣が通したくなるIT稟議書を作成するにはどうしたらいいのか——。
3月22日に開催したDarsana・AnityA主催のイベント「『通らないIT稟議書』は、どこに問題があるのか 経営層を納得させるためのアプローチとは」では、現役のITリーダーをゲストに招き、IT稟議が通らない理由を多角的な視点で探るとともに、その解決策を考えました。
中編に続く本イベント記事の後編では、イベント参加者から寄せられた質問への回答をご紹介します。ビジネスサイドから情シス部長になったオルガノ株式会社の経営統括本部で情報システムグループ長を務める原田篤史氏、IT出身でビジネスを学ぶことの重要性を知るIMV株式会社 IT統括部長の宮西靖氏とAnityA(アニティア)代表取締役 中野仁の3人がお答えしています。
動画インデックス
・Q&A
-Q1:(1)費用対効果の見せ方(2)システムで工数削減をしても、人を解雇するわけではないので会計上で見えるコスト削減にならないわけですが、財務効果の説明を求められます。こんな時の対応例をお聞きしたいです。(3)アジャイルでのアプローチの際に、「詳細計画を事前に作って遵守」という考え方のみしかない方々にどう説明すればいいか悩んでいます。【00:01:15】
-Q2:内製化が進むと「稟議を上げる必要のない業務上重要なシステム」が大量に作られます。どうやってガバナンスをかけていますか?【00:12:35】
-Q3:そもそも経営層のITリテラシーが低かったり、情報セキュリティに興味がなかったりした場合、稟議書以前に話が通じません。 社内の情報セキュリティ教育によるITリテラシーの底上げや、情シスで完結していたセキュリティインシデントの周知が効果的かと考えていますが、それ以外に経営層の意識を変える良い方法があればお教えください。【00:16:47】
-Q4:最近はSaaSのような月額課金のクラウドサービスが一般的になっています。従来型のシステムを導入する時と稟議書を通す上で気をつけることがありますか? また、そもそもクラウドサービスを導入する際の判断基準が自分の中で漠然としており、登壇者の方々が気をつけていることがあればお教えください。【00:22:43】
-Q5:登壇者のお二人に質問です。心が折れそうになった時はどのように乗り越えていますか?【00:26:12】
-Q6:会社の理念、文化に共感できない場合は(1)最小限のことをやってあとは好きなことをする(2)会社を去る——のどちらを選べばいいと思いますか?【00:28:32】
登壇者プロフィール
オルガノ株式会社 経営統括本部 業務改革推進部 情報システムグループ長 原田篤史氏
1996年に帝京大学理工学部バイオサイエンス学科卒業後、鹿島建設のグループ会社に入社、水処理プラントの工事、設計、試運転、水質分析など水処理に関わるあらゆる業務を実施。途中1社の転職を経て、2007年にオルガノ株式会社に入社。水処理のエンジニアリング業務に従事。2013年のタイ赴任を経て、2017年に日本帰国後は新規事業や業務プロセス変革を行い、2020年3月の緊急在宅勤務の陣頭指揮を執ったことから同年7月に情シス未経験ながら情報システムグループ長に就任。以降、素人情シス部門長として、情シス部門の地位向上のために社内外で情報発信中。
IMV株式会社 IT統括部長 宮西靖氏
2001年に東京外国語大学 東アジア課程卒業後、株式会社ラックに入社し、ITセキュリティ・コンサルティング業務に従事。 2004年に松下電器産業株式会社 (現パナソニック株式会社) に入社。以降、一貫して製造業のIT部門にてITインフラ構築やITを活用した業務改革に従事。株式会社クボタでの勤務を経て、2015年よりフジテック株式会社入社。ITインフラマネージャーとして、クラウド・モバイルを活用した国内・海外拠点のワークスタイル革新、CSIRT構築等を担当。 2018年よりIMV株式会社のIT部門責任者として全社のDX推進を担当。
株式会社 AnityA(アニティア) 代表取締役 中野仁
国内・外資ベンダーのエンジニアを経て事業会社の情報システム部門へ転職。メーカー、Webサービス企業でシステム部門の立ち上げやシステム刷新に関わる。2015年から海外を含む基幹システムを刷新する「5並列プロジェクト」を率い、1年半でシステム基盤をシンプルに構築し直すプロジェクトを敢行した。2019年10月からラクスルに移籍。また、2018年にはITコンサル会社AnityAを立ち上げ、代表取締役としてシステム企画、導入についてのコンサルティングを中心に活動している。システムに限らない企業の本質的な変化を実現することが信条。