ビジネスサイドに求められる変化を理解する


※本記事は、小川康二氏・伊藤洋一氏の著書「DXを成功に導くデータマネジメント データ資産価値向上と問題解決のための実務プロセス75」(翔泳社刊)の一部を編集し、転載しています。

なぜ、サービスプロバイダー化するのか?

 すべての企業や組織はサービスプロバイダー化に向かっています。製造業や建設業などのモノづくり産業も含めて、すべての業種がそのようにいわれています。

 なぜ、サービスプロバイダー化するのでしょうか?

 それは、DX化の根底には「顧客の体験価値」を向上させる考え方があるからです。

なぜ、体験価値を向上させることができるのか?

 企業が社内データだけでなく、デバイスデータ・センサーデータ・SNSのテキスト情報に代表されるようなビッグデータを持てるようになったことで、細やかな分析が可能になり、必要な人に必要なタイミングで必要なサービス(商品含む)を提供できるようになったからです。

データ活用文化が勝敗を決める

 大企業のほうが多種多様なデータを大量にもっているため、上手く使いこなせればより良いサービスを提供できます。

 しかし、データを活用する文化が根付いていなければ、大企業であっても、あっという間に顧客が離れてしまうことが予想されます。

 言い方を変えれば、ベンチャー企業でもサービス中心のビジネスモデルを構築し、データを活用してサービス開発を行えば、ファンがついてくることを示唆しています。特にSNSやブログなどデジタルマーケティングを上手く使いこなせば、エンゲージメントを高めることが可能です。

 つまり、規模の優位性だけでは勝てない時代がきたといえます。

ビジネスサイドはどう変わるのか?

 経営戦略を考えるうえでの出発点では、顧客の体験価値をいかに創出できるかという視点に立って考えていく必要があります。

 経営戦略が変われば、日々の業務のやり方も変わってきます。不特定多数の顧客のニーズを想像する必要があるため、データを活用し、顧客ニーズの仮説立てを行い、サービス開発と改善を繰り返すアジャイル型の活動になります。

Point!ビジネスサイドに求められる変化

体験価値の創出にフォーカスした戦略づくりを当たり前にしていくこと
データを活用して、サービスの仮説検証ができる社員を育てていくこと

コラム:アジャイル型の活動とは

 アジャイルとは、社会に素早くサービスを提供し、仮説と検証を繰り返しながらより良くする開発手法です。もともとはシステム開発の手法で使われる言葉ですが、DX時代ではデジタルサービスの開発をスピーディーに開発することが求められるため、アジャイル開発が一般用語として使われるようになりました。

 顧客ニーズが読めないVUCAの時代だからこそ、アジャイル開発が求められています。

コラム:体験価値の視点に立つとは

 例えば研修サービスを提供する事業者の場合、生徒の成績が期待したほどに向上しないと、生徒のやる気や勉強不足など、サービスの受け手である生徒側に問題があると判断し、改善しようとします。しかし、体験価値の視点に立つと、この姿勢は間違っています。生徒が悪いのでなく、研修コンテンツや教え方が悪いかもしれません。つまり、何が問題だったのか多角的に見て、生徒が興味をもって継続的に研修に取り組んでもらえるように改善していく姿勢が事業者側に求められます。この話は部下の指導や商品開発の現場でも同じことがいえます。

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